8月の梗概をいろいろ読めていない(その1)

純粋な梗概の感想をサクサク書いていこうとしたのですが、きちんと読むと全然わかっていない。イメージをつかめていない自分がいました。多分に読み手の問題のような気がしますので、実作の参考にはならない点も多いとは思います。

それでも他人から何か自分の書いたことについて、「あーこー」言われるだけでにやにやできるという人のために、主に「ここがわたしには、わからなかったよ」みたいなものを書いてみましたので、あーこういう風によまれるのかよー。くらいにとってください。敬称略

52ヘルツの虚鯨:天王丸景虎

52ヘルツの鯨という言葉を初めて知った。感謝です。

一瞬作者がwikiすら作成したのかと思った。これ自体、本当のことではないかもしれない「52ヘルツの鯨」ようだけど、wiki説明の「世界一孤独な鯨」という説明自体にいろいろ想像が膨らむ。

電子棺桶が物理的にどういうものか、イメージできなかった。体が動かせない人が反応を出す機械のような物?

「鯨のような奇妙なノイズを発するその怪物」は、52ヘルツの鯨ではなく、一般的な鯨のこと?

ここでの、Brainfuck(ブレインファック)とは、何なのか?難解プログラミング言語のこと?

『ある映画(シャマランのアンブレイカブル)を見て「ひょっとして自分はヴィラン、悪役かもしれない」』の部分は普通、この説明で意味が理解できるのだろうか。映画を見たはずのわたしも、意味がわからなかった。ここでの意味は、お兄さんが、災難をわざと引き起こしていた、ということ?

そのお兄さんが、戦いに勝って消えた理由がわからなかった。そもそも何の戦いだったのか。ここで、「存在しなくて寂しい感」を出すのがカタストロフィなのだろうか。

最後の「奇妙な鯨のような声はもう聞こえない。」の鯨も一般的な鯨のことなのか。兄を52ヘルツの鯨と言っているのかがわからなかった。世界一孤独であることの比喩?タイトルを52ヘルツの虚鯨としているから、52ヘルツの鯨とは違う暗喩なのだろうか?

ざっと読んだときは、流れは面白いと思いましたが、再読すると実はいろいろ、わかっていなかった。でも、ぜひ今回は実作に辿り着いてください。

 

 

女の子から空が降ってくる:稲田一声

タイトルのイメージ力が強い。なんだろうと思わせて、「頭のすぐ上に広がる天蓋を両手と肩で支えている」

あー、そういう絵になるとは思えなかった。となるも、この言葉のイメージさせる世界観で最後まで引っ張られた。。と書きつつも、山より大きな柱の娘の一人であったエルクが木々に隠れて倒れていた。というのが、どういう山より大きい娘(男の子)が隠れていた森って、ああ、痩せてるのか?と思ったり。

お椀のような世界というと、え?中心側の娘は、端の娘より、また数倍大きい?

でも、そうなると、お椀の中心部の高さまでを支えているなら、いや、中心部一人でいいのでは?と思ったり。わたしの、お椀のイメージが間違っているのだろうか?

ラストは実際に壊さないで、夢想するところで終わらせるのがいいのか。

何れにしろ天が降ってくるイメージの描写は難しいけど美しいと思います。全体的に異世界の絵が浮かびやすく、展開の面白い話でした。

ちなみに、有名な中国神話でも天の蓋が落ちてくるのがあります。そして、そこから地上へ降ってくるのが、決まって魔物だったりします。

 

 

最後のコハダ:ひろきち

フィッシュペースト24を塗る、寿司とは、何の魚の味なのか?24種類の味ということなのだろうか?

源八の右腕が切り落とされたというのは、殺されたということ?右腕だけというのは、何か意味があるのだろうか?

「ナリ怖くても、シャリ優しく。サビはメリハリ、テキパキ握れ」は妙に切れがいい。

ひろきちさんの物語の展開と発想がとても好きです。ぜひ、この路線を追及して、やくざSFを完成させてください。

 

傷を舐めあう幻 :吾妻三朗太

文の改行の位置がおかしいからか、意味が取り辛いところがありました。

「馬鹿げた仕事も終わってみるとそれなりに打ち解けていた。」

の意味がわからなかった。馬鹿げた仕事とは「引き取って手間のかかる老犬、老猫の面倒を見ながら暮らす」ということなのか。でも、それが馬鹿げていること?そして、それが終わったとはどういうことなのだろうか?

この文脈は最後の説明「捨てられた動物の面倒を電脳上の暇な人々に面倒見させる事業」につながっているのか。

川尻がヒーローとなるべき人かもしれない、ということなのだろうか。

 

おまえは犬のように吠えたのか? 今野あきひろ

同じ会社で、仕事として、ヒーローと悪の結社が「会社員仕事」をする。そういう善と悪の象徴である男同士の社内恋愛。という構造が面白いと思ったのですが、。、。がんばります。

 

メリークリスマス:藤琉

ボランティアは、贈与に対する破壊活動なのか?ではなくて、本来贈与が無い世界の価値概念への破壊活動のことなのだろうか?

この贈与が存在しない貸付が全てという第二日本も魅力的世界だけど、そこの人々がボランティアに興味をもつ(持てる)というのが、わからなかった。

贈与中毒になっていくというのも、本来の第二日本がそうなるというのは、スパイの巧妙な策があったのだろうか。

「雄一郎がパンを持っていくと翔太に瓦礫を投げつけられ腕に噛みつかれた」が、贈与中毒ということは、あげる方ではなく、受けとる側が、無償で受け取りつづけないと中毒になるということ?でも、どうしてパンをもらうときにその中毒になるのだろう。

内容に関するアピールを読むと、「テロリストがサンタになる」は面白いアイデアだと思うけど、その前の贈与の活動というのが、テロリストというより、そもそも、「いい人」に読めてしまうので、違う価値観に行った「いい人が、自分でいい人と宣言する」みたいな流れに読めてしまいました。

 

君のしっぽが僕を知ってる:甘木 零

「ユウト君の……戻ることを願う」の「・・・・」部分が聞き取れなかったのは、校長が意図的にしたことではなく、偶然聞き取れなかった?そこが聞き取れないことと、あとで声を修復までして強調した「遺体が戻る」というのは、ミステリィ度を深めるためなのだろうか?なにか他の理由があるのだろうか。

失踪が続くと、なぜそれが幽霊騒動になるのだろうか?この幽霊騒動の意味が最後までわからなかった。

リュカとウニも続き、の「ウニ」って誰だろう?ここで初めて登場?ミミのこと?

『退学者たちを義体とすり替える計画だと言った。「それが幽霊に見えたようだ」』がわからなかった。希望して退学していく者たちに、義体をあげること?ではなくて、退学者の代わりに、義体を学校に置く事?でも、それが何故幽霊に見えるのだろうか?そもそもここでの義体って何だろう?

やはり、冒頭の「破損したハンググライダーが発見され」と、この義体との関連がわからなかった。

冒頭の「ハングライダー」は、ただ中洲で使う風景に合うから使ったのだろうか。他に何か意味があったのだろうか。などと最初は雰囲気でわかったつもりで、わからなすぎていた自分。

 

フード・オブ・ワンダー:中倉大輔

「約300年にもわたる努力の結果、人類は火星のテラフォーミングを完成させたが、直後に起こった戦争のために地表の殆どは砂漠化。人々は貧しい生活を余儀なくされ」とある、冒頭のこのかなり限定された社会下の物語である必要があったのだろうか?

リンの設置した時限爆弾が階下で爆発し、とあるのは、設定しておいたこの時間に偶然エルハを見つけて爆発したということなのだろうか?

建物全体が崩壊を始める。とあるのは、そのコロニー全部が崩壊して、そこに住む全員を殺してしまったということ?

「俺が落ちてきた時も、こうやって飛んだんだろ?」とあるのは、冒頭で作業中に落ちたというのは、故意に落ちたということ?

さっと読めたのに、きちんと考えると、いろいろわからない点が多かったです。

 

それはシアワセではありません:夢想真

サトルはサトミと再会して真実を知らされる。とあるが、ここでサトミが、真実「シアワセは人を腑抜けにさせる」ということを話せたということ?

サトミが真実を話すことが可能であれば、普通に人類に知らせられたのでは?

”月に向かい集合体意識と対決して『シアワセ』を破壊する。”の集合体意識とは何だろう。

そこれそ、サトミではない物体があったのか。それとも、目に見えないものを壊したということなのだろうか。

 

 

ハロー、アリス:古川桃流

まず、クラウドファイターの意味がわかりません。一般的に使われている言葉なのでしょうか?

クラウドでのファイターでもなく、ネットで検索して説明されている「クラウドファイター」と意味が違うような気もするのですが。→古川さんに「間接的に何か(人とか)を動かして戦う」と説明してもらいました。ただ、やはりそれでも、最後の意味がよく理解できない。

「サーバーの秘密鍵が開発者間で共有」というのは、運用的にありえるのだろうか?サーバーの秘密鍵とは、そもそもサーバーにログインするコードとは違うのだろうか。

一般参賀の出口である皇居の二重橋に向かって、より多くの人が集まり始めた。とあるのは、アプリの偶然のエラーということだろうか。意図的にそう動かしたということでなく。

ただ、藤井大洋さんラブは伝わりました。

 

魔女っ子ミントちゃん☆オーバーライド!:榛見あきる

ここがわからないのは、相当読む側の問題なのかもと思うのだけど、

「内戦の後遺症たる腐敗と不均衡な技術条約とが、無責任な薬品霧スモッグを生んだ。未だ潜伏する反政府組織対策で上空まで壁に覆われた」とあるのは、政府側が意図的にスモッグ状態にしている?

でもエチカは政府側の衛生局?「少年と別れ目的地のスタジオに着いたエチカは、言えなかった言葉を、収録マイクに叫んだ。もう声を殺して泣くのはまっぴらだった。「この街のみんなを助けるため、魔女っ子ミント、オーバーライド!」」とは、少年のためにも、青空を出してあげたかった事?それがどうしてこの「魔女っ子ミント、オーバーライド!」と叫ぶことに関係があるのかわからなかった。「収録が終わり、企画会議が始まる。」と続いてあるから、ここでは、叫んだ言葉は放送されずにまだ収録されていただけで、最後に繋がる?

さらに肝心な「 徐々に街に降りかけていた薬品霧は払われ、ミントを投影する霧も風で霧散する。

 その後、博士は衛生局で確保され、エチカは呼吸器の汚染で入院した。」ここの映像的な効果はわかるのですが、ミントの映像は、その場で見ている人にだけ意味がある?呼吸器の汚染で入院するのは、エチカだけで、街の人は何故影響がないのだろうか?